選手はそれぞれ、なぜ野球を好きになったのか?
世間では、「優勝した感激」「ホームランを打った喜び」などの好結果が理由だと考え、「甲子園」や「プロ野球」を目標に取り組んでいると思い込みがちです。
私はそうではないと感じています。
私自身、なぜ野球に惹かれたか、その理由を自問してみると、もっと素朴な感動が根源にあると思うのです。
「打ったあ!」とアナウンサーは叫びます。バットから弾かれた打球が外野手の間を抜けていく。それを見て、応援者は手を叩きます。よい結果を確認して歓声を上げるのです。けれど、選手や監督、コーチの感動は、それより一瞬早く起こっています。結果を見て喜ぶのが日本の常識になっていますが、結果を見て喜んでいるようでは、遅いのです。
野球に取り組む者の感動は、それ以前にあります。打つ前に、「打てる!」と感じる。それこそが感動です。打てると感じたとおり身体が自然に動き、事前に「見えた」とおりの打球が(あるいはそれを上回る打球が)空に向かって飛んで行く。結果が先に見えているからこそ結果が出せる。これが選手の当たり前です。先に見る、先に見える、それが東京武蔵野シニアの求める姿勢です。